ガラリアさん好き好き病ブログ版

ここは、聖戦士ダンバインのガラリア・ニャムヒーさんを 好きで好きでたまらない、不治の病にかかった管理人、 日本一のガラリア・マニア、略してガラマニのサイトです。2019年7月、元サイトから厳選した記事を当ブログに移転しました。聖戦士ダンバイン以外の記事は、リンク「新ガラマニ日誌」にあります。

第38章 事件前夜

空色のダンバインは、ゼラーナに奪われた。聖戦士ショウ・ザマという人材も、ギブン家にとられた。ドレイク軍に1機だけ残っていた、青いダンバインも、破壊されてしまった。追撃をのがれ、ゼラーナは、ミの国に入ってしまった。

バーンとガラリアは、お館様に、どれほど怒られるだろうと、戦々恐々として、帰城した。執務室で、ミズル・ズロムとともに待っていたドレイクは、報告をうけ、しばし沈黙していたが、意外なことに、ニヤリと笑った。

「たしかに傷手だが、この損害を、逆手にとってやろうではないか。」

言われた2人は、目を丸くした。執務室のドレイクは、考えを、話してきかせた。

「ギブン家の残党が、ミの国王を頼った理由を、フラオン・エルフ王に言上すればよいのだ。つまり、アの国の家老職にあったロムン・ギブンは、従前から、ミの国と結託し、アの国を、転覆せんと、くわだてておった証拠だとな。」

青い髪の男女、ドレイク軍騎士団長と、副団長は、お館様の名案に、聞きほれた。バーン・バニングスは、うなった。

「なるほど…!それならば、この機に、いっそミの国ごと…?!」

ドレイクが、笑みをうかべ、答えた。

「そうよ、絶好の機会だ。ミの国は、領地の広さとしては小国なれど、かの軍隊ごと、手中におさめることができたら、われらが軍勢は、よりいっそう強化されようぞ。あのお人好しの王、ピネガン・ハンムが、他国を追われた者どもを、かき集めておるし、手強い軍だがな…宗主国王の、お墨付きさえあれば…」

考えこんだドレイクを、励ますかのように、バーン・バニングスが力強く言った。

「一気に攻め落としましょうぞ、お館様。ゼラーナもろとも!」

「うむ。さっそく、ミの国侵攻の許可を、国王に出させるとしよう。なに、そこの細工は、造作ない。バーン、ガラリア、わしの命令を待て。開戦は間もなくぞ。」

バーンたちを下がらせると、ドレイクは、参謀ミズル・ズロムと、エルフ城につかわす使者についての、打ち合わせをはじめた。


夜になっていた。空腹をおぼえたガラリアは、とある相談を持ちかけたくて、親友のユリアを、晩餐に誘った。副団長専用食堂が、彼女たちの、いつもの、おしゃべり場であった。

腸詰めの蒸し物。チーズとりあわせ。温野菜と川エビのサラダ。そして、果実酒の炭酸わり。大好物をほおばって、ガラリアとユリアは、しばし、戦況について話し合っていたが、ガラリアが、モジモジしはじめた。ユリアは、ははーん、なにか悩み事を打ち明けたいのね、と察した。

ガラリアは、うつむいたり、窓の外を見たり、ユリアの顔を見たり、またその順番で、数回ローテーションし、意をけっして、語りはじめた。

「あのな、ユリア、実はな。」

ユリアの利発な黒い瞳が、ワクワクして、キラリ光って、答えた。

「なんでしょう、ガラリアさま。」

「ウーン、ウーン。実はな。私…」

その先が、恥ずかしくて言えなくて、バカなりに考えたガラリアは、テーブルに飾られていた、花瓶とバラの花に目にとめ、白いバラを一輪、ぬきとった。

「…こういうものを…渡したい、相手が、できてな…。」

女友達とはいえ、ガラリアは、さっき食べた川エビ(ボイル済み)よりも赤くなって、たどたどしく言った。とたんにユリアは、席から立ち上がり、外まで聞こえるようなキャーキャー声をあげたので、ガラリアはビックリした。

「キャアアアアーッ!ガラリアさまーッ!お花をさしあげる殿方がーッ!本当ですか、マジですか、誰、誰、誰ですか、いやッ!お待ちください、あてますッ!キャアアアアーッ!大事件ですわ、大興奮ですわ、わたくしに考えさせてください、どなたでしょう、一発で、あててみせますわ!」

筆者は、この小説の、1章ごとの文字数を、なるべく少なくしようと、努力しているのだが、これだけは無理だった。じっさいにはユリアは、4百字づめ原稿用紙3枚分は、しゃべり続けながら、室内の、食卓のぐるりを、歩き回り、ときどきジャンプした。キャーキャーさけび、考えがまとまったらしく、ピタと立ち止まり、神妙な顔で、自分の席に座った。

「あてにいきます、ガラリアさま。」

裁判官の判決を聞くような気分で、ガラリアは、ごくんとつばを飲み込み、聞き入った。ユリア・オストークは、声を低く、しかしハッキリと、こう言った。

「ゼット・ライトさまですね?」

なぜバレたーッ!ガラリアは、胸の谷間に、自分の顔をうずめて隠そうとして、首が折れるほど、肩をすぼめた。顔面は、川エビ(ボイル済み)の色を通りこして、トマト色にまで紅潮した。小さく、うなずいた。

「…ウン。そう、ゼット…。」

花を渡そうと決めた本人よりも興奮したユリアが、両手で、白いテーブルクロスをわしづかみにして、わなわな、ふるえた。そして満面の笑顔で、親友を鼓舞した。

「お似合いだと、わたくし、ずっと前から思っておりましたのよ。なるほどガラリアさまは、面食いだとおっしゃってましたが、ゼット・ライトさまは、別ですわ。ええ、面食いが、めしあがる顔ではありませんわ。でも、あのかたは、バイストン・ウェルじゅうをさがしまわったって、ぜったい見つからない、秀才でいらっしゃいます。」

ユリアは、文字数を少なくしたいという筆者の願いを聞き入れず、しゃべり続けた。

「そして、なによりも、人柄がよろしゅうございます。女性にだけ優しい男ならば、いくらもおります。あのかたは、ちがいます。

わたくし、機械の館の召使いをやっている平民に、城下町の知人がおりますから、評判を聞くのです。

ゼット・ライトさまは、困っている者があれば、どこにいても、とんできて助けてくださって、そしていつの間にか、姿を消しておられるのです。誰にも感謝されずに、善行をなさって、御礼を申し上げても、おれじゃありません、誰それですと、お手柄をまた、ほかの者にプレゼントしてしまわれるのです。

平民たちが、くちをそろえて言うのですわ。機械の館のあるじどのほど、お優しく、ひかえめなかたは、ほかにおられませんと。」

ウムウムと、ガラリアは、聞き入っていた。彼女は、自分の恋人えらびについて、親友が、全面的に賛同してくれるのが、うれしかった。

「いえ、いいえ。いちばん、重要な点がございます。わたくし、ガラリアさまの幸福を願う者としての、切実な願いですわ。

あのかたは…ガラリア・ニャムヒーさまを、好いておられます。あなたを、大切にしてくださるかたです。これ以上の良縁は、ございませんでしょうとも!」

こう言われてガラリアは、なんでユリアには、私の考えが、いつもお見通しなのだろうと、不思議に思ったが、そりゃ、あんたが鈍感なだけだよ。

すると、ユリアは、ニコニコしていた表情を、とつぜん、般若のような、眼光するどい、にらみ顔に変え、

「それでッ。決行は、いつですの?」

「ウム、明日に、しようかと、思う。」

またユリアは、興奮して、キャーキャーさけんだ。ガラリアは、ビッグ・イベントたる明日の計画を、親友に、詳しく話してきかせた。


本当の大事件は、明日、起こるのだ。

 

 

2013年7月12日