ガラリアさん好き好き病ブログ版

ここは、聖戦士ダンバインのガラリア・ニャムヒーさんを 好きで好きでたまらない、不治の病にかかった管理人、 日本一のガラリア・マニア、略してガラマニのサイトです。2019年7月、元サイトから厳選した記事を当ブログに移転しました。聖戦士ダンバイン以外の記事は、リンク「新ガラマニ日誌」にあります。

「リーンの翼」 第2話「ホウジョウの王」感想文

この番組には、みんなで歌える、マンガエイガらしい主題歌がありません。なので、第2話を見た印象で、替え歌を作ってみました。

サザエさん」の終わりの歌のふしで

「鈴木さん」

♪ワーラーカーレーン のぞいたら (ちゃちゃら ちゃら)
 黄色いパンツが とんでいた (どんどんどん)
 今日は楽しいー きょおはっ たのしいぃー 配信日ぃー
 (ちゃらっら ちゃららら ずっずっずっ)
 (~間奏・声の出演が紹介されるほのぼの映像~)
 ほらほーら リュクスのー 声がするー
 すーずきーさん 鈴木さんっ 鈴木さぁーんは ゆ・か・いだなーっ♪

こんばんは、今回のリーンには、言いたいことがありすぎるガラマニです。まず、第1話「招かれざるもの」感想文 で酷評した、キャラクターデザインについての感想が、だいぶ変わったことを、特筆したいと思います。ひとことで言うと「慣れ」なのでしょうが、「これはこれで、けっこういい」と感じるようになりました。人物の顔の造作を、線を少なく表現している分、リーンのキャラ絵は、服装の描き込みが細かいんですねえ。リュクスの着物の縫い目、スカートのひだ、沓の模様まで、細かく描き込んであって、配色もきれいです。主人公エイサップの服装は、極めてシンプルなのですが、服地の「しわ」によって、全身の重量感をかもし出すという技です。

リュクス、エイサップ、サコミズお父さん、のちぞえさま(←でました富野節!)が、ズラリ並ぶと、サコミズ夫婦の華美なドレスと、現代人エイサップの、ユニクロ的シンプルさが対比されて、粋な画面になってます。

さて、前回のラストで、オーラロードの中を、抱き合って落下していった、エイサップ鈴木と、リュクス・サコミズは、フェラリオの「水の国」ワーラーカーレーンに到着。2人を迎えたフェラリオ、ロリオタ要員エレボスの服装が、無駄にエロい。ズボンの股部分がぱっくり割れてて、黄色いパンツ丸出し。男と見ればすぐ色気を振りまく、態度がまた。おちょんぼがこれまた。リュクスでなくてもイライラします。エレボスが、エイサップに挨拶したとたん「ムキーッ!」ってなるリュクスに、シンパシー急上昇です。わかる、わかるよ、リュクス…

エレボスさんご本人とは、友人にはなりたくないと思う俺ですが、このフェラリオの存在感は、すごく良いと思います。背中の4枚羽を丸くたたみ、色情をかき立てる、おしゃべりな、おませさん。初代「聖戦士ダンバイン」での、ミ・フェラリオとエ・フェラリオが、前者は人形大、後者は人間大と、厳密に区別されていた設定に比べ、エレボスの等身は、変幻自在なのが、リーンのオリジナリティですね。果敢に新しいものを作ろうとする製作姿勢を、良いと感じさせた、象徴的なキャラ、それがエレボスです。

ワーラーカーレーンの背景が、イソギンチャクやアコヤ貝といった、海産物に特化したデザインなのも、良いですね。見るからに「水の国」、分かりやすいです。おばさんジャコバ様、おっぱいの谷間が丸見えの服で、微妙にペチャパイなのが、リアルでキモいです。

サコミズお父さんの妻で、リュクスの継母、コドールさんの服も、Vネックがへその下まで開いてて、へそが常に見えて、しかも細身なので、リアルにエロく感じます。そう、リーンの服装デザインの、地上人だけ見ていると、2006年度の流行追っているようで不快でしたが、バイストン・ウェル人の服装と対比させると、いい感じに見えてきました。今回、登場シーンの少なかった、朗利と金本。金本くんの、臙脂色の長袖の、袖口が、手の甲を覆うほど長いのにも、作画班の、芸の細やかさを感じました。リーンは、洋服の「しわ」がいい。実にいい。

そして、声優さん方の熱演が、絵の美しさをひきしめています。第1話に引き続き、ひたすら喋り続けるリュクス(嶋村侑さん)は、相変わらずの好演で、大のお気に入り。しぶい演技で喝を入れてくださるサコミズお父さん(小山力也さん)が、主人公に向かって

サ「すずきくん。」

って言うのが、いい味出してます。

主人公・エイサップ鈴木(福山潤さん)の発声が、特に、素晴らしい。「富野節」に、よく合っています。青少年らしい、まくしたてる喋り方、悲鳴の甲高さ、

鈴「むこ?ムコってなによッ?!」

部分的に女言葉になるときの裏声、まさに富野節そのもの。バイストン・ウェルの戦乱に、否応なく巻き込まれていく、現代人の戸惑いを、上手く表現しています。

今回、待ちに待った、オーラ・バトラー戦がありました!第1話で登場したオーラ・バトラーが、それ自体が生き物であるかのように描かれている点にかんして、富野監督の他作品の影響だろう、という論評を、他サイトで目にしましたが、あ゛ー、それはそれ、これはこれでしょう。そんなことゆって、こんどはモビルスーツまで「フー、コー、フー、コー。」息しはじめたら、どうしますか。ブライトさんが「ガンダムはまだ出せないのか!」、メカマンが「いま、やる気出すよう言い聞かせてるんですよ!」みたいになったら、げんなりするでしょうが。

オーラ・バトラーは、機械文明が持ち込まれたバイストン・ウェルで、現地にある原材料で作られた「工業製品」であることが、最大の魅力だと思っている俺は、生き物設定が、オーラ・バトラーにも適用されることには、強い違和感をおぼえます。そんなん、オーラ・バトラーじゃないやい。

そんな不満プンスカで見ていたオーラ・バトラーですが、第2話の戦闘シーンは、かっこよかったっす!躍動するメカ、戦うメカ、ロボットアニメはこうでなくっちゃね。

しかしぃ、アゲハ蝶がモデルとおぼしき、オウカオー、可変しすぎ、羽ばたきすぎ。アゲハの羽を、パタパタパタパタすんのね。あー、きれいよね。んで、そんな華美な機能は、いらんのよ。

俺はメカの細かい設定には明るくありませんが、そんな俺にも「分かりやすかった」ダンバインの無骨さとは、似て非なるオーラバトラーたちだなと思いました。昆虫がモデルだというだけの共通点。

同じ世界設定のシリーズなんですから、オーラ・バトラーらしい魅力(無駄な変型合体はなく、原材料の質感を表現した意匠)を、リーンでも見たかったですねえ。「聖戦士ダンバイン」のときのように、スポンサーの意向で、過剰な変型をするメカを出さざるをえなかったビルバインとは、状況がちがうのだから、華美な装飾や可変に逃げないメカデザインを、見せてほしいと思います。オウカオーや、ギム・ゲネンのデザインは、かっこいいですけども、日本製ロボットアニメを見続けてきた俺には「ありふれている」んですよ。「ありえない」メカデザインが、今なお色あせないのが「聖戦士ダンバイン」であるだけに、残念に思います。初代と比較してばかりの論評は、もうやめておこうと思う俺ですが、比較されてしまう宿命にあるのも、シリーズものゆえ、なんだよな。

でも、オーラ・バトラーの羽と、フェラリオの羽が、共通して「たたんで収納、出すとパタパタ仕様」になってるアイデア自体は、おもしろいと思います。メカと妖精が、共通してるってとこがね。

主役メカは「名無し」の状態で、エイサップが搭乗し、オウカオーのサコミズお父さんと対決。

鈴「姫様に、この名無しの操作を教えてもらっているだけですッ!」

サ「ナナジンと名付けたかぁっ!七福神の!」

し…しちふくじん ときたか。

サコミズお父さん、さすが戦前生まれと言おうか、発想とびすぎ富野節炸裂と言おうか。このやりとりで、主役メカがネーミングされてしまう展開には、大ウケであります。

リーンの翼」という作品は、往年の名作、「聖戦士ダンバイン」からのファンとして見ると、不満多き出来ばえと言わざるをえませんが、2006年度の新作アニメを広汎に見る、一アニメファンとして評すれば、これは、非常に洗練された、意欲作だと思います。いやっ、はっきり言うと、最高ですよ。さすがは、富野監督ですよ!

近年、テレビのゴールデン枠は、原作を壊すためだけのリメイクや、みすぼらしいCGや、何十年も前からの固定人気をあてにして、ズルズル続けているような、くそくだらないアニメばかりです。新鋭アニメーターによる実験作なんて、テレビでは、製作出来なくなっている。危機に瀕した日本のアニメ界。そんな中で、「リーンの翼」のように、クオリティの高い、新作大人向けロボットアニメを、見せてもらえることは、長年のアニメファンとして、ひどく、嬉しい。完成度、オリジナリティ、美意識、「詰め」に甘さが微塵も無いこと、どの要素をとっても、現在、民放のゴールデンでプッシュしてるアニメ群は、「リーンの翼」の、足元にも及ばない。

リーンの翼」の背景画は、美術監督池田繁美氏の腕が、冴えわたっています!池田氏の絵描き人生中、今がいちばん、油がのっている時期なのではないでしょうか。インテリ~アデザインの、和洋折衷さかげんは、そのまま、地上界とバイストン・ウェルとの、ミックス混交さかげんを表現していて、おもしろい。水彩のぼかす筆に、絵の具の選び方に、ただただ、しびれるばかりです。こんなすごい才能を、目の当たりにしている我々の、なんと幸せなことでしょう。

そしてこの番組の、優れた点を、もうひとつ挙げます。音楽です。主題歌(終わりの英語の歌)は、好きではありませんが、劇伴はこれ、近年稀に見る名曲です。なんと美しい、なんと本格的な楽曲。樋口康雄氏のタクトが、物語を盛り上げてくれます。壮大なオーケストラによって、どきどき出来る快感。

「続きは、いったい、どうなるんだろう!」

手に汗にぎる、臨場感。この音楽は、天を突く咆哮となって、バイストン・ウェルへと、我々をいざないます。

正直に申し上げて、俺は、前回、「聖戦士ダンバイン」と比較してばかりで、こき下ろしすぎたかな、と思っています。確かに、俺が愛したダンバインと、これはちがう。今の時代が、1983年当時とはちがうのですから。資金難であろう情勢にあって、このような作品を出してくれた製作の皆様に、賛辞を送りたく思います。次回も、楽しみですよ。朗利をもっと出してね。

2006年4月26日(水)